Bitter Kiss各曲感想

なんで今頃?
って思うかもだけど。
このアルバムの曲、あんまり聞き込めてないなぁと最近思ったんですよね。
別にきっかけとかはないけど。
ライブで、イントロ聞いてぱっと曲名が出ないようじゃ嫌だったし。
デビュー3周年とかも特に関係ないです。
ただなんとなくタイミングが重なっただけで。

なんで発売当初それ出来なかったのーって考えると
モロにラブライブ!のファイナル間近だったからっての大きいよね……。
まぁでも別に時間が経っても良さは変わらない。
今から知るのも遅くはない。
思い立ったが吉日なんて言ったりもしますからね。

同系統の曲を敢えて集めたアルバムだから印象が被るのは自然なこと。
でも同時に当たり前な話、この6曲は全くの別物。
ざっくりした印象が同じでも細かく見ていけば必ずその違いを知ることが出来るし、
それは同時にその曲固有の良さを知ることにも繋がるよね。

まずは全体として。
当時の内田さん的にEDMを集めたSweet Tearsは革新的だった。
with youくらいしかそれらしいEDMがなかった内田さんの曲に、
一度に6曲もパターンを増やした。
(まぁ"笑わないで"とかSweet Dreamerはダンスミュージックというよりエレクトロポップじゃないのという話は今回は割愛)
でもBitter Kissは。
ロックはもうやっていたじゃないか。
こちらはもう聴きなれた今までの曲調。
そう思いかけるけれど、実際は案外そうでもない。
内田さんの主軸はポップロック。
シリアスロックは当時ONE WAYとLike a Birdくらい。
そう思うとそれまで概念に近かった「格好いい内田彩像」をきちんと形作ったアルバムと言えると思う。

今回に限らず一曲一曲どこがどう良いとか見ていくの、
別に本当はやる必要ないことだと思っている。
そもそも何も考えずフィーリングで聴いた時に良いと思わなければ紐解こうと思わない。
良いことは分かってるんだ。
ただ、それがなんでなのかを自分で分かりたくて分かろうとした結果が残るだけなんだよね。
まぁ結局、「感覚」を越える答えなんてどこにもないんだけどさ。

さて前置きが長くなりました。
個別に見ていきましょうか。


afraid...
正直最もクセの強い曲だからここに差別化はあまり要らないよね。
でもせっかくなら紐解いていきましょう。
当初内田さんは収録が決まった時、その独特さから中盤のアクセントになると思ったそうな。
この曲がリードなのはとても良いと思うけど、扱いが難しくて結果最も歌われていないリード曲となってるよねw
その人形のような無感情トーンは激情の裏映し。
強すぎる感情は振り切れて壊れてしまった。
アルバムの中でも異質な点として、鍵盤が使われていないことがひとつ大きい。
わりとどの曲でもそうだと思うんだけど、鍵盤って感情だと思う。
その繊細な音色は気持ちの機微を表現するのに適している。
そして逆に、このココロが壊れて動かなくなった曲には採用されていない。
要所要所で鳴るギターの、弦が切れたような音も、サビの入りも壊れた心のよう。
相手のココロが離れていくのを感じながら、それでもその人の鎖に絡まれたままの自分。
その先には苦い絶望しかないと分かりながらも逃れられない。
そんな恐ろしい愛の歌。

シリアス
とにかくまずマジでベースが格好いいよね。
唸る低音を意識して聴くだけで楽しい。
間奏の発狂したようなギターの鳴きもめっちゃ良い。
あとみんなライブでカッコ内叫ぼう。
多分みんなも聴きこんでないから覚えてないんでしょ。
覚えて。
イントロでは途中から入るキーボードの激情が
同じメロディのアウトロでは頭から入るのもカッコいい。
お互いの真意が見えないままダラダラと続く関係の歌。
"煙のなか"にいるような関係は居心地の良さよりも不安の方が大きくなっている。
涙を隠すようなことがあったり、安っぽい形だけの約束をされたり。
「いつかの誰かと少し似ているあなた」
というのは理由を探しているよう。
"いつか"も"誰か"も"少し"も全部凄く曖昧。
昔のよく覚えていない想い人に面影が少し似ているなんて、
ただ理由が欲しいだけで本当は意味がないことな気がする。
1サビは「だけど声が違う(But that good. so good)」と続くから、
逆説的に探していたのは好きな理由。
そして「でも声が違うから好きになれない」と続く。
尤も、それ自体もまた後付けの理由。
直後に裏から"でもそこが良いの"と本音が響く。
対照的に「こんなに愛せない」と続くラストサビは、
ぼんやり似ていることを愛せない理由にしているよう。
こちらも結局直後には「Can't stop falling in love」と裏から声が響く。
それを踏まえて見ると、主人公はもう相手を好きになってしまっているように見える。
でもそれなら何故表向きには「こんなに愛せない」と歌うのか。
迷ったフリをしているのか。
それはやっぱり、冒頭で示した不安な部分がココロの引っ掛かりとなっているからだろう。
きっと一歩踏み出しても相手は応えてくれないと感じている。
だから自分に言い聞かせる意味でも愛さないようにして自分を守ろうとしている。
それでも、泳げない人魚は行きついたその場所で夢を見るしかない。
自分のココロは止められない、好きになっていく。
煙のなかから二人抜けだしたなら、こんな迷いはすぐ消えていく。
「抜け出せたら」じゃない。
抜け出してしまったら関係は崩れる。
でも、抜け出したら迷わないで済むことは分かってる。

MELODY
胸が締め付けられるような調べから始まるキーボードロック。
壊れたり冷静に迷ったりしていた前曲たちと比べて直情的な音。
全編を通してキーボードが鳴き続ける。
でもその真っ直ぐさはすべて自分の中にあるだけ。
好きなはずなのに、実際に相手と話をするとケンカしたりすれ違ったりしてしまう。
全然伝えることが出来ない。
想い人と付き合えているからといって、それはイコール幸せではないという歌。
「幸せになりたいだけだから別にあなたじゃなくてもいい」という歌詞。
これは本当にそう思っているのなら今の相手に固執する理由もなく、
別れるのかどうか悩むことさえない。
「『選択肢は星の数だけ』いつも言ってたでしょう?」
と続くようにこれは主人公の言葉ではなく、本心ではなく、
このままズルズルと関係を続けても幸せな未来が見えないから、
そう思い込むことで未練を断ち切ろうとしている言葉に感じる。
付き合ってみたら思ったよりも相性が悪かったという悩み。
そして、それでも好きなことは好きという矛盾。
きっとこの主人公が最も望むのは今の相手に幸せにしてもらうこと。
だけどそれが叶わないこともなんとなく察していて、でも諦めきれない未練の歌。

キリステロ
ライブの定番曲になったね。
afraid...よりもリードしてるまである。
でも案外収録のこれはちゃんと聞いたことない人も多いんじゃない?
歌詞、クッソ厨二病キメてるよね。
Bitter Kissの、というかコンセプトアルバムの裏テーマが発売日付近に準えてバレンタインだから、
これも全体のバランスで見れば恋愛の歌ではあるんだろうけれど、
単体で見ると自由な解釈が出来る曲だと思う。
「心臓貫くその衝撃と骨の軋みをもっと味わえばいい」
は実感を伴ったような言い方、自分も痛く苦しいことが伺える。
「もう怪我する覚悟は出来た」
とも歌っているから、偽りのアイをキリステるのは自分にも代償があるのだろう。
「重ねた時間など重く降る雨に流そう」とある通り、
長い間一緒にいたこともあって自分とって大切で、
多分自分の一部なレベルになっていたそれは、
しかし自分を傷付けるものになってしまった。
当然自分の一部を切り離したらそこは怪我をしてしまう。
それでも、そのままよりはずっと良い。
これを恋愛で捉えるなら
例えば恋人が浮気などをしていて、好きだけどでも別れた方がきっと自分のためだと割り切ったような。
そういう歌。
イントロなどに入っている三味線風の音で少し和テイストがあり、
斬り捨てろというタイトル、歌詞に準えると剣術を思わせるようなイメージも浮かぶ。
ラストサビでリズムが遅くなるところ、ヘドバンしろと言わんばかりで本当に好き。
コンセプトライブでやってた「サァ、キリステロ」で首掻き切るモーション好き。

Ruby eclipse
赤い向日葵の歌。
内田さん曰く、Bitter Kissで最も「遠い」歌。
気持ちも届かず、体も触れ合うどころから相手からこちらを見てくれることすらない。
バラードにアレンジし直しても良いような情感たっぷりのメロディアスロック。
切ない鍵盤と激情を掻き立てるギターやベース、ドラムのサウンドはクサくも沁みる。
いちいち主人公の願いが諦観に満ちていて切ない。
「夢の中でも良い、君に会えるなら」「あと少しだけ……お願い、眠らせてよ」
君に会いたいと願うことは、叶わないことを願うということ。
それはただ空しくツラい。
それならばあと少しだけで良いから眠りたい、そうすれば夢で会えるから。
「教えてよ、君を愛する忘れ方を」
君を愛することを忘れられたら、こんなにも苦しむこともなくなる。
そうやって半ば諦めているのに、
それでも不意に「この胸の叫びよ、届いて」「もっと近くに来て欲しい」
そう願ってしまう。
叶わないことが分かっていて、
願っても悲しみしか産まないことが分かっているのに。
「もう良い、要らない。されど深く巡る君の根」
君を諦めきることも、君に思いを告げることも出来ないまま。
ただ前にも後ろにも動くことが出来ないまま君を見つめる。
それは本当に向日葵のよう。
「重みを持たぬ君の歪んだ声」辺りからサビまで続く狂気的なキーボードの調べは改めて一聴してほしい。
もしPVを撮るなら是非レッドスケールで撮ってほしい一曲。
赤一色の世界での向日葵畑はきっと狂気的かつ絶望的だろう。

絶望アンバランス
こちらもメロディアスピアノロックだが、
決定的に違うのはRuby eclipseはキーボード中心で、こちらはピアノ中心。
無論キーボードほど強い音は出ないが、切なさと夜のような閉鎖感が強くなる。
そもそも「絶望アンバランス」という言葉はどういう意味なのか。
それは「輝くたびに影ばかりきわだって悲しみ照らす」という部分が象徴していると思う。
この歌詞は例えば恋人の浮気を知ってしまったら、
今までの楽しかった思い出も今その人の傍にいることも全て絶望に変わってしまう。
そういった状態を歌っている。
だから、そんな風に些細なきっかけで希望が絶望に変わってしまうそのアンバランスさを象徴した言葉なんだと思う。
また「心の中のモンスター」とは、
恨んでしまうそれは元々は自分にとっての希望だから、恨みたいものではない。
大切だったものを恨んでしまう自分。
その姿はもはや見るに堪えないものになっていた、ということに思える。
どうしても恨んでしまってコントロール出来ないという意味合いもあるように思う。
ただそれでも。
それでも毎サビの最後には前を向いて走り出している。
「いつかこの想いいやされる時が来る」だから、
"いつか"だから、今もなお絶望に苛まれてはいながら、それでも走り出している。
絶望を振り切るために、希望へ向かうために。
とても強く、格好いい女性像が浮かぶ一曲。
イントロの「テューン」ってピアノからキーボードに切り替わる音好き。
ライブだとタイミング取るのが難しいのか切り替えが難しいのか採用されてないけれど。
ちなみになんだけど、
「鏡にうつった自分の姿 まるで」
の後の一言は歌詞にないの知ってた?知ってるか。
「言葉にするのもおぞましい姿」みたいな印象を受けてドキドキするよね。

てなわけで、Bitter Kissの世界観とかを見てきたけれど。
ポジティブに取れるところも敢えてBitterに解釈したりもして。
この数日毎日のように重い世界に浸っていたらなんか、憂鬱になってきました。
でもそれだけパワーのある曲たちだなと改めて思ったりもしましたね。
特にこのアルバムはただ「ロックでカッコいい!」っていう面を楽しむのも勿論いいと思うし、
それがメインの良さだとも思うけど、
そこに潜む悲しみや絶望、痛みもこの曲たちの良さだし、
「内田さんは可愛いだけじゃない」と布教の中で嘯くのなら、
それにはこういった曲たちをちゃんと知ることが説得力にも繋がるかもなぁとも。

まぁ、ほんと、別にボクみたいに一個一個「これはこういう世界で」とか
面倒で大変なのでやんなくていいんだけど、
みんな久々に?初めてちゃんと?集中してBitter Kiss聴いてみたらいいんじゃないでしょうか。
「ノリが良い」だけじゃない曲たちの良さが知れるかもね。

Sweet Tearsの方の各曲感想も、まぁ、気が向いたらやってみるかも。
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