Bitter Kiss各曲感想

なんで今頃?
って思うかもだけど。
このアルバムの曲、あんまり聞き込めてないなぁと最近思ったんですよね。
別にきっかけとかはないけど。
ライブで、イントロ聞いてぱっと曲名が出ないようじゃ嫌だったし。
デビュー3周年とかも特に関係ないです。
ただなんとなくタイミングが重なっただけで。

なんで発売当初それ出来なかったのーって考えると
モロにラブライブ!のファイナル間近だったからっての大きいよね……。
まぁでも別に時間が経っても良さは変わらない。
今から知るのも遅くはない。
思い立ったが吉日なんて言ったりもしますからね。

同系統の曲を敢えて集めたアルバムだから印象が被るのは自然なこと。
でも同時に当たり前な話、この6曲は全くの別物。
ざっくりした印象が同じでも細かく見ていけば必ずその違いを知ることが出来るし、
それは同時にその曲固有の良さを知ることにも繋がるよね。

まずは全体として。
当時の内田さん的にEDMを集めたSweet Tearsは革新的だった。
with youくらいしかそれらしいEDMがなかった内田さんの曲に、
一度に6曲もパターンを増やした。
(まぁ"笑わないで"とかSweet Dreamerはダンスミュージックというよりエレクトロポップじゃないのという話は今回は割愛)
でもBitter Kissは。
ロックはもうやっていたじゃないか。
こちらはもう聴きなれた今までの曲調。
そう思いかけるけれど、実際は案外そうでもない。
内田さんの主軸はポップロック。
シリアスロックは当時ONE WAYとLike a Birdくらい。
そう思うとそれまで概念に近かった「格好いい内田彩像」をきちんと形作ったアルバムと言えると思う。

今回に限らず一曲一曲どこがどう良いとか見ていくの、
別に本当はやる必要ないことだと思っている。
そもそも何も考えずフィーリングで聴いた時に良いと思わなければ紐解こうと思わない。
良いことは分かってるんだ。
ただ、それがなんでなのかを自分で分かりたくて分かろうとした結果が残るだけなんだよね。
まぁ結局、「感覚」を越える答えなんてどこにもないんだけどさ。

さて前置きが長くなりました。
個別に見ていきましょうか。


afraid...
正直最もクセの強い曲だからここに差別化はあまり要らないよね。
でもせっかくなら紐解いていきましょう。
当初内田さんは収録が決まった時、その独特さから中盤のアクセントになると思ったそうな。
この曲がリードなのはとても良いと思うけど、扱いが難しくて結果最も歌われていないリード曲となってるよねw
その人形のような無感情トーンは激情の裏映し。
強すぎる感情は振り切れて壊れてしまった。
アルバムの中でも異質な点として、鍵盤が使われていないことがひとつ大きい。
わりとどの曲でもそうだと思うんだけど、鍵盤って感情だと思う。
その繊細な音色は気持ちの機微を表現するのに適している。
そして逆に、このココロが壊れて動かなくなった曲には採用されていない。
要所要所で鳴るギターの、弦が切れたような音も、サビの入りも壊れた心のよう。
相手のココロが離れていくのを感じながら、それでもその人の鎖に絡まれたままの自分。
その先には苦い絶望しかないと分かりながらも逃れられない。
そんな恐ろしい愛の歌。

シリアス
とにかくまずマジでベースが格好いいよね。
唸る低音を意識して聴くだけで楽しい。
間奏の発狂したようなギターの鳴きもめっちゃ良い。
あとみんなライブでカッコ内叫ぼう。
多分みんなも聴きこんでないから覚えてないんでしょ。
覚えて。
イントロでは途中から入るキーボードの激情が
同じメロディのアウトロでは頭から入るのもカッコいい。
お互いの真意が見えないままダラダラと続く関係の歌。
"煙のなか"にいるような関係は居心地の良さよりも不安の方が大きくなっている。
涙を隠すようなことがあったり、安っぽい形だけの約束をされたり。
「いつかの誰かと少し似ているあなた」
というのは理由を探しているよう。
"いつか"も"誰か"も"少し"も全部凄く曖昧。
昔のよく覚えていない想い人に面影が少し似ているなんて、
ただ理由が欲しいだけで本当は意味がないことな気がする。
1サビは「だけど声が違う(But that good. so good)」と続くから、
逆説的に探していたのは好きな理由。
そして「でも声が違うから好きになれない」と続く。
尤も、それ自体もまた後付けの理由。
直後に裏から"でもそこが良いの"と本音が響く。
対照的に「こんなに愛せない」と続くラストサビは、
ぼんやり似ていることを愛せない理由にしているよう。
こちらも結局直後には「Can't stop falling in love」と裏から声が響く。
それを踏まえて見ると、主人公はもう相手を好きになってしまっているように見える。
でもそれなら何故表向きには「こんなに愛せない」と歌うのか。
迷ったフリをしているのか。
それはやっぱり、冒頭で示した不安な部分がココロの引っ掛かりとなっているからだろう。
きっと一歩踏み出しても相手は応えてくれないと感じている。
だから自分に言い聞かせる意味でも愛さないようにして自分を守ろうとしている。
それでも、泳げない人魚は行きついたその場所で夢を見るしかない。
自分のココロは止められない、好きになっていく。
煙のなかから二人抜けだしたなら、こんな迷いはすぐ消えていく。
「抜け出せたら」じゃない。
抜け出してしまったら関係は崩れる。
でも、抜け出したら迷わないで済むことは分かってる。

MELODY
胸が締め付けられるような調べから始まるキーボードロック。
壊れたり冷静に迷ったりしていた前曲たちと比べて直情的な音。
全編を通してキーボードが鳴き続ける。
でもその真っ直ぐさはすべて自分の中にあるだけ。
好きなはずなのに、実際に相手と話をするとケンカしたりすれ違ったりしてしまう。
全然伝えることが出来ない。
想い人と付き合えているからといって、それはイコール幸せではないという歌。
「幸せになりたいだけだから別にあなたじゃなくてもいい」という歌詞。
これは本当にそう思っているのなら今の相手に固執する理由もなく、
別れるのかどうか悩むことさえない。
「『選択肢は星の数だけ』いつも言ってたでしょう?」
と続くようにこれは主人公の言葉ではなく、本心ではなく、
このままズルズルと関係を続けても幸せな未来が見えないから、
そう思い込むことで未練を断ち切ろうとしている言葉に感じる。
付き合ってみたら思ったよりも相性が悪かったという悩み。
そして、それでも好きなことは好きという矛盾。
きっとこの主人公が最も望むのは今の相手に幸せにしてもらうこと。
だけどそれが叶わないこともなんとなく察していて、でも諦めきれない未練の歌。

キリステロ
ライブの定番曲になったね。
afraid...よりもリードしてるまである。
でも案外収録のこれはちゃんと聞いたことない人も多いんじゃない?
歌詞、クッソ厨二病キメてるよね。
Bitter Kissの、というかコンセプトアルバムの裏テーマが発売日付近に準えてバレンタインだから、
これも全体のバランスで見れば恋愛の歌ではあるんだろうけれど、
単体で見ると自由な解釈が出来る曲だと思う。
「心臓貫くその衝撃と骨の軋みをもっと味わえばいい」
は実感を伴ったような言い方、自分も痛く苦しいことが伺える。
「もう怪我する覚悟は出来た」
とも歌っているから、偽りのアイをキリステるのは自分にも代償があるのだろう。
「重ねた時間など重く降る雨に流そう」とある通り、
長い間一緒にいたこともあって自分とって大切で、
多分自分の一部なレベルになっていたそれは、
しかし自分を傷付けるものになってしまった。
当然自分の一部を切り離したらそこは怪我をしてしまう。
それでも、そのままよりはずっと良い。
これを恋愛で捉えるなら
例えば恋人が浮気などをしていて、好きだけどでも別れた方がきっと自分のためだと割り切ったような。
そういう歌。
イントロなどに入っている三味線風の音で少し和テイストがあり、
斬り捨てろというタイトル、歌詞に準えると剣術を思わせるようなイメージも浮かぶ。
ラストサビでリズムが遅くなるところ、ヘドバンしろと言わんばかりで本当に好き。
コンセプトライブでやってた「サァ、キリステロ」で首掻き切るモーション好き。

Ruby eclipse
赤い向日葵の歌。
内田さん曰く、Bitter Kissで最も「遠い」歌。
気持ちも届かず、体も触れ合うどころから相手からこちらを見てくれることすらない。
バラードにアレンジし直しても良いような情感たっぷりのメロディアスロック。
切ない鍵盤と激情を掻き立てるギターやベース、ドラムのサウンドはクサくも沁みる。
いちいち主人公の願いが諦観に満ちていて切ない。
「夢の中でも良い、君に会えるなら」「あと少しだけ……お願い、眠らせてよ」
君に会いたいと願うことは、叶わないことを願うということ。
それはただ空しくツラい。
それならばあと少しだけで良いから眠りたい、そうすれば夢で会えるから。
「教えてよ、君を愛する忘れ方を」
君を愛することを忘れられたら、こんなにも苦しむこともなくなる。
そうやって半ば諦めているのに、
それでも不意に「この胸の叫びよ、届いて」「もっと近くに来て欲しい」
そう願ってしまう。
叶わないことが分かっていて、
願っても悲しみしか産まないことが分かっているのに。
「もう良い、要らない。されど深く巡る君の根」
君を諦めきることも、君に思いを告げることも出来ないまま。
ただ前にも後ろにも動くことが出来ないまま君を見つめる。
それは本当に向日葵のよう。
「重みを持たぬ君の歪んだ声」辺りからサビまで続く狂気的なキーボードの調べは改めて一聴してほしい。
もしPVを撮るなら是非レッドスケールで撮ってほしい一曲。
赤一色の世界での向日葵畑はきっと狂気的かつ絶望的だろう。

絶望アンバランス
こちらもメロディアスピアノロックだが、
決定的に違うのはRuby eclipseはキーボード中心で、こちらはピアノ中心。
無論キーボードほど強い音は出ないが、切なさと夜のような閉鎖感が強くなる。
そもそも「絶望アンバランス」という言葉はどういう意味なのか。
それは「輝くたびに影ばかりきわだって悲しみ照らす」という部分が象徴していると思う。
この歌詞は例えば恋人の浮気を知ってしまったら、
今までの楽しかった思い出も今その人の傍にいることも全て絶望に変わってしまう。
そういった状態を歌っている。
だから、そんな風に些細なきっかけで希望が絶望に変わってしまうそのアンバランスさを象徴した言葉なんだと思う。
また「心の中のモンスター」とは、
恨んでしまうそれは元々は自分にとっての希望だから、恨みたいものではない。
大切だったものを恨んでしまう自分。
その姿はもはや見るに堪えないものになっていた、ということに思える。
どうしても恨んでしまってコントロール出来ないという意味合いもあるように思う。
ただそれでも。
それでも毎サビの最後には前を向いて走り出している。
「いつかこの想いいやされる時が来る」だから、
"いつか"だから、今もなお絶望に苛まれてはいながら、それでも走り出している。
絶望を振り切るために、希望へ向かうために。
とても強く、格好いい女性像が浮かぶ一曲。
イントロの「テューン」ってピアノからキーボードに切り替わる音好き。
ライブだとタイミング取るのが難しいのか切り替えが難しいのか採用されてないけれど。
ちなみになんだけど、
「鏡にうつった自分の姿 まるで」
の後の一言は歌詞にないの知ってた?知ってるか。
「言葉にするのもおぞましい姿」みたいな印象を受けてドキドキするよね。

てなわけで、Bitter Kissの世界観とかを見てきたけれど。
ポジティブに取れるところも敢えてBitterに解釈したりもして。
この数日毎日のように重い世界に浸っていたらなんか、憂鬱になってきました。
でもそれだけパワーのある曲たちだなと改めて思ったりもしましたね。
特にこのアルバムはただ「ロックでカッコいい!」っていう面を楽しむのも勿論いいと思うし、
それがメインの良さだとも思うけど、
そこに潜む悲しみや絶望、痛みもこの曲たちの良さだし、
「内田さんは可愛いだけじゃない」と布教の中で嘯くのなら、
それにはこういった曲たちをちゃんと知ることが説得力にも繋がるかもなぁとも。

まぁ、ほんと、別にボクみたいに一個一個「これはこういう世界で」とか
面倒で大変なのでやんなくていいんだけど、
みんな久々に?初めてちゃんと?集中してBitter Kiss聴いてみたらいいんじゃないでしょうか。
「ノリが良い」だけじゃない曲たちの良さが知れるかもね。

Sweet Tearsの方の各曲感想も、まぁ、気が向いたらやってみるかも。
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ICECREAM GIRLの行き先

物販。
凄く改善しましたね。
多分赤字だからせめて褒めよう。
ESPの時はコロムビアに抗議した分、今回はちゃんと褒めないとこれで良かったのかどうかも伝わらない。
ダメなところを伝えるのなら、良いところも伝えなくては。

さて初日はな~~。
5列目花道真横とかいう強ポジだったからライブ感めちゃ楽しんだな~~。
2日目はステージ全体を見ようと座席行ったけど、全体を見れたかっていうと微妙だな。
結局内田さん見ちゃうんですよね結局は。

What you want!からなのはもう王道。
分かっててもそれ。
2曲目PHS!は武道館と同じ構成。
ポップに可愛く。
でも盛り上がりも忘れずに。

アイスクリーム屋の店員をイメージしたらしい衣装で、
アイスを象ったマイク片手にさらっと踊る姿に見とれちゃう。
ステージもバンドが隠れている場所がお花屋さんやパン屋さんなどを模していて童女の夢のような世界。
軽くPVのようなステージだった。

ペガサス号からもうバンドが弾いてたよね。
登場したのはHolidayからだけど。
花道を駆け回ってはファンを弄って。
ボクは常軌を逸しているから声色で内田さんがどういう意図をもって発したことなのか、
もうだいたい分かる段階に来ているんですよね。
だから「ICECREAM GIRL~~~」って媚びるような声色で呼びかけたとき、
「あ、女の子しか返事しちゃダメなやつだ」って直感的に分かっちゃったんだよな……。
「君らはBOYでしょ!」ってツッコんでたからその感覚が正しいのが本当にキモいぞ自分。
でも内田さんも普通わかんないから「女の子~~」って声掛ける感覚でやっても無理だと思うぞ。

Sweet Rainを歌いながらだんだんとメインステージへ帰還。
今回に限らないけど「後ろ手に祈った」って歌った後はちゃんと後ろ手で祈るのとか内田さん好きよね。

てかHolidayね~~~。
スタンドマイクで両手フリーにして軽いフリをつけながら歌うのかわいかったよね~~。
Say Love me!って言ったら「Love!」って返して!って言われたけど
ラブ!なんて叫んだことなかったから奇妙な気分だったw

しかし、転落なぁ。
どうしてあの人はああもおっちょこちょいなのか。
いや、もしかしたら内田さんが歌い終える前にセリは上がっているべきだったのかもだけど。
もしそうならスタッフの手違いだけど、多分あれはHolidayが始まるまでスタンドマイクを隠しておく意図もあったから下がっていて正しいと思うんだよね。分からんけど。
そうなるとどう考えても内田さんは事前に「開いてるからね!危ないからね!気を付けてね!」って言われてるハズなんだよね……。
1日目成功して気が抜けてて、+ライブ楽しくて忘れたんじゃないかなって思ってますね個人的には。
なんでああも危なっかしいのかなぁ……って思うと「ああ……群馬の自然で育ったやんちゃ少女だからだ……」って考えると納得してしまうところがある……。
いや、しかし、本人の安全のためにもアレはダメ。
いけません。
気を付けてね!(届かない)

2日目は靴壊したから交換してくるつって一旦ハケたけど、その時のバンドさんはホント格好良かったよね~。
言うても普段から組んでるメンバーってわけでもないのに突発事象に落ち着いて即興を、
しかもステージ左右が壁で隔たれていたのに音だけで成立させてるの凄かった。
怪我の功名。

元々このPAS+を中心としたアラフォーおっさんのバンド編成、
全然可愛くはないけど絶対的に玄人を呼んでるじゃないですか。
(いや、フルーツ持ち込んだりして可愛げあるけれども!)
ここにもプロデューサーの「内田さんにアイドルでもガールズバンドでもなく、音楽をやってほしいんだ」っていう本気が見えるなぁとは思っていたけれど、それが思わぬところで功を奏したよね。

さてさて続くMerry Goでは内田さんのライブにおいて初のダンサー登場。
曲の展開に合わせてだんだんと増えていくダンサーさんたち。
大量のバランスボールを使った演出に合わせ内田さんも軽く振り付け。
今までみたいに内田さん自身もペンライトを持ってはしゃいで結局バテるみたいなのも好きだけど、そういうのはミニライブとかでも見られそうだしね。
これはこれで良しでした。
ラストのサビでバランスボールに座り跳ねながら歌うんだけどよくリズムズレないよね。
或いは歌に集中して転んだりとか。
いや、リハではやって黒須さんの機材潰したらしいけどさww

そんで日替わりで「キックとパンチ」と「泣きべそ」をやって。
この2曲は内田さんの中でも対比になってるよね。
日替わりって言ってた時点で来るかな~と思ったからやっぱり!ってなった。
ICECREAM GIRLが重めの曲中心だから既存曲からポップなの持ってきたってことだったみたいね。
まぁポップって言っても歌詞的にはこれも切ない系なんだけど、それを敢えて明るく歌って。
2日目泣きべそで「なんで私に優しい世界になってくれないの!」のところで
さっき落ちたセリを叩いてて"自分が悪くても世界のせいにするワガママ女子だ!!"ってなったw
何気にこの2曲は初バンドアレンジだったのでは。
ここまではポップス中心という感じ。

そこからのアップルミント。
王道ポップロックをここで持ってくることで、明るさはそのままにハードさを持ち込む。
並みのセットリストだったらここで「最高潮」を持ってきたらダレるけれど、
内田さんの「全てがシングルカットされても恥ずかしくない」楽曲陣ならまるで意に介さない。
中盤の火付け役としてこの曲を使うという贅沢さに震えながら会場のすべてがヒートアップする。

そして続く内田彩初のメドレー。
「Growing Going~ドーナツ~Ruby eclipse~絶望アンバランス」とポップロックから徐々にビターハードに。
なんでこの人3年も活動してないのにメドレーするほど楽曲あるの?
後半二曲の方がハードだけど、メロコア風だからその方がキーボードが光っていくのが染みる。
Rubyの「ズルいよね 教えてよ 君を愛する忘れ方を……」から一瞬楽器が引いてアンバラのイントロピアノが入ってくるの本気で気持ちがいいよね……。

ハードにキマったところで持ち出すのは勿論新曲のハード枠Under Control。
みんな意外とBメロ、引くところは引いてたね。
「私が収録した時に見たいと思った景色を見せてくれ!」とイントロで叫ばれたらもう、そのこちらへの信頼に喜び震えるしかなかった。
内田さんが、「ファンは打てば応えてくれるもの」だと感じてくれたその結果のひとつがこの歌。

そのまま絶対来ると思ってたキリステロ。
恐らくキリステロが存在したから、Under Controlはこのアレンジになったと言っていい。
シンガロングでファンが応えたその結果こそがUnder ControlのBメロ。
この二曲は兄弟のようなものだと勝手に思ってる。

そして中盤ラストは収録時はきっと録ることで精いっぱいでファンがどうなんて考えも出来なかったであろうbreezin'。
「コーレスと言えばこの曲」というイメージが形成された今だからこそこの3曲は繋がる。
ロックテイストは残しつつもハードからポップに戻り、それに合わせるようにダンサーが登場。
ダンサー振り付けの「SUK」の人文字を真似しようとして口からマイクが外れる内田さん、本当にただはしゃいでいるだけだった……。
あとこれツイッターでも言ったけど間奏で「みんな大好きだよ!」って言ってたのは「あ~~良かったなぁ~~~」ってしみじみしましたね。
2年前は「みんなのこと知らないのに、みんな大好きなんて言えない」って言ってたのに、今は言える。
分かってはいたことだから衝撃ではないんだけど、凄い変化を感じてしみじみです。

MCを挟むと雰囲気は打って変わってClose to you。
さっきまで子どものようにはしゃいでいた人がすっと大人の恋を歌う。
そのどちらもが内田彩の本当だった。
歌い終えるとアウトロでそのまま去っていく様も切なげで美しい。

アウトロが終わりバンドメンバーも一時引くと、交代でダンサーが登場。
オリジナルのBGMとともに曲芸のようなダンスを披露していく。
そのクラップモーションに乗せられてクラップしていると、曲も最高潮のところで気づけば着替えた内田さんがそこに。
エプロンモチーフのフリルが効いた衣装からスタイリッシュなシャツとショートパンツ姿になった内田さん。

そこからダンサーズと共に披露するのは「カレイドスコープ ロンド」。
近代ロンドンを彷彿とさせる映像演出に加えて赤を基調としたダンサーに囲まれるその様子は、この曲のイメージを一変させてきた。
万華鏡のイメージも相まって和をイメージしていたけど、近代ヨーロッパとは……。
しかしそれがまた意外なほどに合う。
内田さんのソロとしては初めて披露される「格好いい」ダンスも光る珠玉の一曲。

切なげかつハードな雰囲気を継承してEARNEST WISHに続く。
そしてエレクトロからロックに。
切なさとハードさの共存した曲。
そのパワーに思わず聴き入ってしまう。
これはセットリストの妙もあると思っていて、
多分この曲はキリステロやLike a Birdに続いて披露されると盛り上がる曲になる気がする。
今回はカレイドスコープロンドから続いたからファンの雰囲気も切なさに飲まれたように思う。

更にFrozenへと続く。
アルバムとは逆順。
Blue Flowerから少しずつ氷を解かすように希望へと向かっていく構成が、真逆の絶望へと進んでいく。
ハードコアながらメロディックなその曲調は切なげに聴くのもひとつの楽しみ方。
ボク個人としてはONE WAYとかも切なくて声とか上げられない。

そのまま切なさは加速し、Blue Flowerという内田彩史上最高の絶望へと辿り着く。
段階を踏んで辿り着いたこの曲には、完全に体の動きを止めさせられた。
言ってみれば凍り付いたかのよう。
最後は蝋燭の火が消えるような感覚へと陥った。

そしてピンク・マゼンダ。
その消えた蝋燭に火を灯し直すような。
暖かいピンクの火が灯るような。
あのイントロが、魂の抜けた心に染み入るような。
そんな感覚になる。
そしてその温かさに溶けていく心。
Blue Flowerで全てを失ったところに、何もなくなったが故に、そこをピンクが染め上げていくのを感じた。

ピンクのフリル衣装であるアルバムジャケットのリメイクへと着替えた内田さん。
ジャケットの時はピンと来なかったけど、加えられたフリルスカートはよく似合ってたと感じてる。
自分の衣装までピンクに包み込んだところでYellow Sweet。
世界を幸せで包んだピンク・マゼンダと、
世界を甘く煌く恋の天気雨で包み込むYellow Sweetは、
色こそ違えどどちらも幸せ色で世界が包まれるという本質は繋がっている。

続けてEDMメドレーが始まる。
この構成は序盤のアップルミントからのロックメドレーと同じ形式。
内田彩の中でロックとEDMが対になっていることの現れ。
Yellow Sweetとの対比だからあそこでアップルミントだったのかと気づかされる。
「with you~ color station~ Floating Heart~ with you」。
with youなんかちょっとテンポ早くない?と思ってたら、
「but, I fell in love with you」から一気にカラステの強烈ビートが割り込んできてびっくり。
でもこの印象的な間奏のビートはすぐに何が起こったか分からせるパワーがあった。
本来のカラステは内田さんのボーカルとキラキラ音からスタートだけど、with youとの繋ぎで頭にも間奏のビートが入っていたんだよね。
そしてFloating Heartへとさらに切り替わる。
「ドレスも馬車もいらない!」から「分け合うひとつのイヤフォン」に飛んで、
「ふわふわしてるこのハート!」の伸ばしでボーカルだけが残り、
無音になったところで内田さんが一言。
そして「You're my sunshine」とwith youのラストサビへ。

内田さんの新たな武器となったEDMたちは、そのチカラを遺憾なく発揮してくれてた。
カラステなんかも今までもダンスは披露してきていたけれど、
ダンサーが加わることでより演出としての完成度が上がったのは間違いないだろう。

そしてここでのMC。
でもでもやっぱり。
内田さんの最初の武器ってなんでしたっけって話。
ポップ・ロックなんですよね~~~。
これが来なきゃやっぱり、終われないわけですよ。
メインウェポンはやっぱりポップ・ロック。

Say Goodbye, Say Helloからスタート!
この曲はアルバムでもEDMから引き継ぎ、駆け出すのにぴったり。
軽快で明るいサウンドは肩の力も余計な考えも全て置き去りにして心を綺麗にしてくれるような気持ちよさ。
EDMで生まれたキラキラはそのままに、ひた走る。

一息だってつかせないとでも言うかのようにシームレス気味にBlooming!へ。
この曲は内田さん、タカゴーさん、京一さんがセンターステージで歌い・弾いていたけれど、
1日目はそこからメインステージへ帰るところで黒須さんとハイタッチして戻るし、
2日目は黒須さんが2番途中くらいから泣きべそパンダパペットを右手に嵌め始めて、
「ええ!?wwどうすんのそれで???ww」って見てたら
パンダでそのまま最後まで弾ききっててもう完全に両日黒須劇場でしたね。
そんなん面白すぎるし目が離せなくなるでしょ普通に。
曲は勿論楽しいしボルテージ最高潮。

更にここでダメ押しのSUMILE SMILE。
1日目全然意味とか理由とか理屈とかそういうの全然何にも分からないんだけど、
なんでか泣いてた。
なんでだろうって考えても全く未だに意味がわからない。
例えば「ああ、この曲泣ける……!」とか
「内田さん、CDの時よりもずっと綺麗な声で歌えて……!」とか、
そういうことを思っていたなら意味も分かるんだけど。
何にも思ってなかったただ歌を聴いていただけだったのに。
歌詞の意味すらあんまり考えてなかったのに。
なんだったんだろう、あの涙は。
ただ涙が零れたことだけが事実としてそこにあったなぁ。

「あなたが笑顔だから、私も笑顔になれるんだよ」。
ボクがそう思うのは当然のことなんだけど。
内田さんもそう思ってくれているのなら。
そんな好循環がここに生まれているのなら、
そんなにうれしいことはないよね。
勿論個人対個人じゃないけど。
それでも、ファンという概念の末端としてそう在れるのならそれだけでうれしい。

Sweet Dreamerではゴンドラを使って、実際に行けるところまで近くへ。
内田さんこの曲大好きだよね。
いつもライブで重要な部分を担わせてる。
「同じ空、同じ未来描き これからもずっと傍にいてほしくて」
「いつか見たあの景色だけをずっと探している」
この辺りが今日という日と重なるのかな。
いつもライブ終わりは「おやすみ」って言う人だから、甘い夢を見てほしいのもあるのかな。
ボクは両日前の方だったから特にゴンドラの恩恵は受けてないけれど、内田さんが幸せそうで良かった。

そして。
SUMILE SMILEによって声を、
Sweet Dreamerによって表情を、
ファンと交流したあと。
歌われるのはOrdinary。
ピアノの調べに合わせて語られる思いの後に歌われるこの歌。
終わりに向かっていく過程でファンと触れ合った果てにここへ辿り着く。
この曲で終わることもまた王道。
この曲でしか終われない。
そんな気さえしてくる。
何も考えず、ただ感じていた。
ただ、感じていた。
そしたら泣いていた。
泣いていたんだ。
あんなにバンドはロックなのに。
内田さんは高らかに歌っているのに。
その音に乗ることはとてもできなかった。
ただ動いたのは、自分が崩れ落ちたときだけだった。

そうして疲れ果てた時にはライブが終わっていて。
余韻の中にいて。
ああ、余韻があるのって気持ちいいなぁなんて思って。
思っていたらどこかからアンコールの声が聞こえて。
ああ、そういえばまだ1曲忘れちゃダメな曲があるじゃないかと気づいて。
気付いたら自分も叫んでいた。
余韻があったのってOrdinaryのチカラだと思う。

どれくらいの間叫んでたのか忘れたけど。
真っ先に内田さんだけが戻ってきた。
どこか気の抜けた内田さん。
もう冒険は終わったからと、あとはエピローグだと言わんばかりで。

残された1曲はICECREAM GIRLではない曲。
だからこそ、ここに。
Everlasting Parade。
パレードは終わらない。
このライブはもうすぐ終わるけれど、これからもこのパレードは続いていく。
EDMの曲を、バンドが弾いて、ダンサーも踊って、ファンはシンガロングとクラップをして。
そして内田さんの歌があって。
だからここに、内田彩のすべてがそこにあった。
すべてがあったんだ。

ここで終わった1日目も気持ちよかった。
全部がそこに詰まっていたから、充分・充足していた。

2日目二度目のSay Goodbye, Say Hello。
プラスアルファ。
デザート。
終わりたくない!っていうワガママ。
デートで帰りたくないって言われるような、そんなワガママ。
一度別れたのに、またねって言うためだけに戻ってくるような、そんないじらしさ。
今日のGoodbyeは、いつかのHelloのために。



あとは蛇足です。
楽曲を上から追っていくだけじゃ拾えなかったところを少しだけ。

内田さん、ファーストライブの辺りの時は「お水美味しいー?」に「ええ……?水は水でしょ」って白けていたのに、
近年は「真剣な時にされると流石に冷めるから1回そういうコーナーをやります」って感じにしていて、
それでも充分ファンとのコーレス受け入れてきたんやなぁと思っていたけど、
今回は何回も、それも自分から誘うようにしていて、
もう今はファンのことを本当に受け入れたんだなとしみじみしている。

そもそも白けていたのはラブライブ!の効果とソロ活動によって爆発的に増えた自身のファンに、
本当に私のこと好きなの?って疑心を持ってたからな様子があったんだろうなと今にして思う。

ボクが内田さんを追いかけ始めたのもまた普通にことりから、アップルミントからなわけだけど。
内田さんの過去を遡れば元々はファンのことを大切に思う普通さを持っていたことはすぐ分かるんですよね。
じゃあなんでそうやって白けてしまっていたのかといえば「本当にファンなの?」ってところで。
「もちろんファンのことは大切だけど、君はファンなの?」ってところだったんだろうなという。
実際イナゴのようなヤツも結構いたしね。
ただ知識がないだけの"にわか"なら全然いいんだけど、そうじゃないのがね。

内田さん本人が、自分にそこまでの価値がある自信がなかったのもあるだろうけれど。
「いや、私にこんなにファンがつくわけない!だからファンじゃない人がいっぱいいる!」ってのもありそうだった。
急に増えすぎてキャパシティを越えてた面も大きかったんだろうな。

でも今はもう様々な要因で内田さんのファンばかりになってきて。
内田さん自身もなんとか落ち着いて受け入れることが出来るようになってきて。
(先日の100人規模のリリイベで「これくらいが身の丈にあってるよ~~」とは言ってたけどw)
それはbreezin'で「みんな大好き」って言えるようになったことと同じで。
またSUMILE SMILEやOrdinaryが生まれたことにもつながるから、やや今更な話でもあるんだけど。
でも久々の大きなライブで改めて実感としてあった。

ちゃんとファンが「内田さんのことが、こんなにも好きだよ」って表現し続けてきたから、
内田さんもファンを信じてくれて、今があるんだよなぁと思うとしみじみしてしまう。

……まで考えると「おめーはファンじゃねぇのかよ」って自分に言う自分が出てきて。
そこに自分が入っていると思うともうその傲慢さに顔を覆いたくなる。
もう「ファン(概念)」として語りたい。
ボクなんて何もしてないですって気持ちがとても強い。
ただ好きなだけ、趣味なだけなのに。
違うんです、別にボクが何かしたから内田さんが信じてくれたって言いたいわけじゃないです。
ファンがしたからなんです。
でもボクもファンなんです。
でもボクは何も……(思考の渦に飲まれて死ぬ)。



堂々巡りだから別の話をしよう……。
ダンサーね!
初採用。
ただ本当に極個人的な話で共感はあまり得られないだろうけど、
ボクは音楽に視覚作用はあまり大きくは気にしていないところがあるんですよね。
アリーナ後方で見えないとかもそこまで気にしない。
オルスタで重視するのは前に出られるかじゃなく真ん中に寄れるか。
左右の音が同じくらいの大きさで聞こえる方がボクには重要なこと。
なので、正直ダンスというもの自体に否定もないけど主義もなくて。
だからあまり善し悪しもちゃんとは分からないんですよね。
でも居れば華やかにはなるし、そういうのもあってもいいのかなぁくらいの感覚でした。
これからEDMも武器にしていくならバンドとの対比として在るのは自然なのかもね。

バンドと言えば今回は両日とも前の方の席だったんだけど、
花道に内田さんが行くと「内田さん見ないのもったいね~~~でもバンドサウンド背中で聴くのももったいね~~~~」っていうバインドに陥って地味に大変でしたね。
内田さんは最悪BDで抜かれるからバンド見るか!とかいうときも多々あった。
本当にバンドも魅力が強いよなぁ。



キリがないのでオチもなく切り上げますが。
内田さんは声優に本当に真摯に向き合ってる人なのはもうみんな知ってると思うんだけど、
その彼女が音楽業にも積極的になったら、彼女の音楽はどこへ辿り着くんだろうか。
今まではやりたくないけどとりあえずやってみましたでここまで来てるんだよね。
去年くらいからやる気は湧いてきていた様子もあったけど、それには体がついてきてなくて。
今はその危惧もなくなった。
じゃあもう、本当にどこまでゆくんだろう、どこへ向かうんだろう。
今はまだ分からないけれど、それでも良いんだ。

きっと内田さんの辿り着く場所なら、そこにはボクの求めるものがあるから。

もう、ロックに頼らなくてもいい

"可愛い"ことと、"アイドル"であることは別ということ。

さっくりと言ってしまうと、ICECREAM GIRLの個人的総評はこうなります(タイトル込み)。
そもそも。
アップルミントの頃。
内田さんは根本的に歌手活動自体に抵抗があったことは周知の事実ですが。
それでもどうしてもというのなら、歌う曲調はロックがいいという風にも仰っていました。
これは彼女が個人的にロック系統の音楽が好きというのも、実際にそう言っていましたしあるでしょう。
ただ、それだけではないと思うんです。

アップルミントが発売した年は2014年。
そう、ラブライブ!大盛況の年ですね。
誰が言わなくたって、内田さんのソロ活動が企画として成立していたのは、
いや、そもそも企画されたこと自体がラブライブ!での成功によるものであることは自明の理でしょう。

だからこそ、内田さんはいつも恐れていたように感じます。
ステージから降りてもアイドルを求められることを。
あくまでも内田彩がしたことなのに、南ことりのイメージに直結してしまうことを。
「声優業に悪い影響があるのではないか」と恐れていたことは公言しています。
それはそのことりのイメージに直結させられてしまうというところが怖かったんじゃないかなと思います。
無論、南ことりちゃんとしてステージに上がるときはことりちゃんそのものになりたいとすら思っていたことは確かです。
ただ「私は南ことりちゃんではないんだよ」ということも、……決して成れないことも理解していました。

「音楽活動はしたくなかった」なんて歯に衣も着せずに公言してしまうところは代表的ですが、
他にも結婚したい、結婚したいと繰り返したり、彼女は自分の欲望に素直なところがあります。
もちろんそれは彼女の魅力でもありますが、アイドルには全く向いていない性格傾向でしょう。

だから、「どうしてもというならロック」なんだと思います。
格好いい曲調、アイドルとは離れた曲調。
そういう意味での「ロック」だったんじゃないかなというのは、当時のインタビューの端々から感じ取れます。
(アイドルがギャップとしてロック系統の曲調を歌うこともありますが今回は割愛)

また、アイドルのような音楽は出来ないと思っていたのは声優業との絡みだけでなく、
内田さん本人はなかなか自分の容姿に自信が持てていない面も大きいでしょう。
「可愛くない私が、アイドルをやるなんて無理!」という部分もかなりあったように思います。

ただ、この3年間で情勢は変わって来ました。
内田さん自身も変わってきました。
内田彩と南ことりを同一のように考える人は減り、
それに応じて……というのも違うかもしれませんが、
南ことりではなく「内田彩」を受け入れてくれる世界を感じたこと、
また、少しくらい可愛いことをしても受け入れてくれるファンがいることを感じたことで、
EDMというジャンルに手を出し、
color stationやParty Hour Surpriseではダンスを披露しました。
そして、今ではEDMは内田彩の音楽ジャンルの中でロックと並び主要ジャンルの1つとなっています。

キュートな曲調に乗せてダンスを披露する、というのはロックと比較すればかなりアイドルに近い演出でしょう。
となれば、アイドルと勘違いされることを恐れていては出来ないことだと思います。
無論、アイドルとは一線を画した音楽ジャンルではありますが、多分デビュー当時はアイドルに近づくことも怖かったと思います。
一度そちら側に振れてしまえば戻るのは難しいですからね。


そして。
前置きが長くなりすぎましたが。
今回のICECREAM GIRLです。

バンドサウンドとロックの区別は厳密には難しいですが、
ロック系統の曲の収録が後ろ寄りになっているところはポイントだと思います。
また、曲数もEDMを増やしたことで相対的には減っていることは確かです。

ただそれでもボクが言いたいのは決して「ロックを捨てた」わけではないということです。
まぁ聴いて頂いた方には各々感じ取ってもらえればそれで充分ですが、
Under Controlを筆頭に後半はポップテイストながらロック中心だと思います。
ここでやっとタイトルに触れたいのですが、
だからあくまでも、ロックに頼る必要がなくなった、というのが正しいと思っています。
ロックに依存しなくても、内田彩を内田彩として見てくれるファンがいてくれるという信頼の証。
内田彩が歌を歌っても嘲笑せず受け入れて喜んでくれるファンがいるという喜びの表れ。

そしてYellow Sweetがリード曲となり、What you want!もリードの可能性がありつつ1曲目に収録。
つまり、今回のアルバムはデビュー当時には持つことのできなかった、
EDMという新しい武器で全力をかましてきたアルバムだと考えています。

次は構成の話。
アップルミントはロックで始まり、間にポップを入れたのち、
ラストもドーナツ……=ロックで締めている。
このアルバムではまだEDMはない。
前述の通り、この時はロックに傾倒している。

Blooming!は、Blooming!からGo! My Cruising!まで
ポップだったりビターと味付けを変えながらもずっと主軸はバンドサウンドのロックで来て、
Let it shineはややポップテイストを強め、ハルカカナタで毛色を変え、
ペガサス号からエレクトロなポップになり、with youという内田彩EDMの代表曲で終わる。
そういった構成になっている。
ここで初めてEDMに挑戦し、その成功は2枚のコンセプトアルバムに如実に表れた。

それを踏まえてICECREAM GIRLを見てみると、Blooming!ほど明確な分離はしていない。
というか、単純にジャンルが増えた。
What you want!、Yellow Sweetは代表的なEDMだ。
そこから始まり、間は新境地に挑戦しつつジャンルを綯い交ぜにして、
ラストはFrozenからOrdinaryまでロックテイストで締めている。
構成としてのポイントは間よりも、EDMで始まりロックで締めているところだと思う。
完全に逆転させてきた。

これが成立したのは、何より内田さんが可愛い曲を歌ってもアイドルを求められたりしない世界を感じたからだと思う。
EDMであるYellow Sweetをリード曲にするということは、それがたくさんのところで流れ、PVまで作るということだ。
これを、afraid...のようなロックを携えずに出来たというのは一段階乗り越えた印象がある。
ただ、EDMをリードにしてきたことは新境地ではあるのだが、そこに意表を突かれた感覚はなかった。
コンセプトアルバムで完全に主要ジャンルは2つだと示してきていたのもあるし、
ライブでもいつも重要な部分を担っていたからだろうと思う。

Yellow Sweetが公開された頃、リード曲っぽくないなんて意見もあったけど、
これは恐らく全体構造としてラストにロックが来るということがファンサイドにはまだ伝わっていなかったため、
Blooming!の感覚だとラスト曲がリードに来たような感覚になったのかもしれない。

また、内田彩のリード曲と言えばロックみたいな固定観念があったようにも思う。
コンセプトアルバムはアルバム1枚丸々同一のコンセプトだからリードもEDMになるのは当然であり、
また隣にafraid...があったことでもFloating Heartは別と考えられがちだった。
ただ、ここで実はFloating Heartを別にしてはいけないんだろう。
with youを継承して出来たこの曲が、EDMをリードに出来るという裏付けを担ったわけだからだ。
無意識的に別だと考えてしまった人がいたのは、
SUMILE SMILEが一番近年の曲であり、そのイメージがBlooming!やアップルミントの頃を想起させたからなんじゃないかなと思う。

さてこのSUMILE SMILE。
実はアルバムに入れるとなると結構実は曲者だったんじゃないかな。
何せ気合が入りに入っている。
チカラがありすぎる。
メロディの数も多いし、シングル曲でみんなが既に好きになっている。
押しも押されぬ名曲と言い切ってもいいでしょう。
井上さんも作家さんたちに強烈にプレッシャーをかけて作って頂いたと仰っていたし、
実際に作曲の持田さんもツイッターでこの曲に対する熱い思いを呟いておられます。

井上さんは毎回全曲シングルカットされても恥ずかしくない曲を揃える覚悟をしていると。
それ故にシングルは出してこなかったと仰っていました。

多分なんですけど、内田さんが故障していなかったら井上さんを筆頭にスタッフ陣は去年もアルバムを出したかったんじゃないかなと思うんです。
或いは秋は製作期間として年明け出していたかもしれない。
なんにせよ、シングルを出したのは曲数を減らしながらもリリースを止めたらファンに飽きられる可能性の二律背反の中の苦肉の策だったような気がします。
ただだからこそ、出すのであればアルバムに慣れたファンに、
2曲しかないという物足りなさを感じさせないだけのクオリティの曲が必要だったはずです。

また、内田さんは武道館で全曲歌いきって一旦満足し、それで終わってもいいかなと思っていたそうです。
ただ、SUMILE SMILEを作り、歌ったことで再始動に意欲的になれたと語っています。
結果論かもしれませんが、この曲が無ければ内田彩の音楽活動自体が終わっていたかもしれません。

それだけの思い入れのある曲を、じゃあいざアルバムに入れた時。
SUMILEが頭一つ抜けていちゃダメなんですよ。
それは相対的に他の曲が劣ることになってしまう。
これが仮に3曲目とかに入っていたら、そこで一気に持っていかれて後は惰性になってしまう。
11曲目。
この配置はもうここしかないという場所だと思う。
ラスト12曲目でもメッセージ性が強すぎる。
最後の盛り上げ役としてアルバムを後ろからパワープッシュする立ち位置に置いたこの配置は完璧でしょう。
最後にがっと盛り上げてOrdinaryで爽やかな涙を流して終わる。
これ以外になかったとも思います。

パワーが強すぎるこの曲は正直アルバムには収録されないかなと思っていました。
でも実際にこのアルバムを聴いて、きちんと「アルバムの曲」としての新たな役割を完璧に全うしたSUMILE SMILEの姿を感じて感嘆しています。
同じ曲なのに、聴いた印象すら変わった気がします。

また、これが可能だったのは、他の曲全てがシングルカットされても……
SUMILEと同じ立場になっても恥ずかしくない名曲揃いだからだと思います。
クオリティが伴っていなければ、仮に後ろに配置しても結局誰が聴いてもSUMILEが最強のアルバムになってしまったでしょう。
SUMILE SMILEが一番好きという人が存在することはいいんです。
でも、誰が聴いてもそうなってしまうのはダメだと思うんです。

そういった意味でも、ラストにロックを持ってきて終わるこの構成になったんだろうと思う。
纏めるなら、EDMという新たな内田彩の代表ジャンルをきちんと武器として使い、ロックと肩を並べさせる序盤と、
SUMILE SMILEをアルバムに馴染ませるためのロックで締める終盤。
そう考えれば、自然とBlooming!とは逆順の構成という部分に帰結していったように感じる。

尤も、このマクロ的な視点の話は完全に中盤を無視している。
だから、Blooming!と真逆にしただけで終わり……なんて簡単なものではない。
次はもう少し細かく見て行こうと思う。
てなわけでミクロ……もとい各曲個別に感想のようなものを。

What you want!
Yellow Sweetとは同一ジャンルだからこそ比較すると見えてくるものがある。
この曲の特徴と言えば何よりもラップ調で歌われるローテンションビートと伸びやかなハイトーンのミックスだろう。
2つの内田さんが掛け合いのように歌いかける。
ライブではコロコロと歌い方を変えるその様を楽しめる一曲になるだろう。
また大量に散りばめられた英単語で構成された、甘くオシャレでキラキラした女の子の世界観は夢見がちで浮かれているものの、純粋なココロで感じれば憧れない女性の方が珍しいのではないだろうか。

Yellow Sweet
同じ甘さでも、What you want!の方は言ってみればライフソングと言った感じだ。
対してこの曲は砂糖菓子なんて目でもない甘々ラブソングになっている
もう内田彩の楽曲を片っ端から聴いている人には慣れ親しんだhisakuni節が全開の曲と言える。
何よりも2サビ終わり後の強烈な転調は今回も健在。
また、良し悪しではなく違いとしてこの曲の方が音数が多く、電子音が洪水のように流れてくる。

Say Goodbye, Say Hello
スニーカー・フューチャー・ガールを彷彿とさせる疾走感。
タイトルだけ見ると誰かとの出会いや別れかと思ったが、
蓋を開けてみると自分との出会いと別れを歌った、内面的な歌だと気づく。
ポップテイストながらここで初めてのバンドサウンド。
1、2曲目でふわふわと夢見心地になった空気感を入れ替えるような、爽やかに駆け抜ける涼風のような曲。

Close to you
新たに挑戦したフォークビート。
同じミディアムバラードでもハルカカナタとはまた毛色の違う、ビートの効いた、散歩するかのような軽快さがある。
また、全体的には曲調に合わせた大人しい歌い方ながらサビの突き抜けるようなハイトーンは鋭く強い思いを感じさせる。
大人っぽい落ち着いた曲調ながら、その歌詞を読み解くと案外子どもっぽいというか若いというか、"まだまだ恋してる"感が切なく光る。
「誰よりも笑顔にしたい」とか「空気みたいな愛よりも引っかかりたい」みたいな積極性に表裏する必死さみたいな恋に溺れる感は落ち着いた大人というよりもまだまだ恋愛を楽しむ幼さを備えているように感じる。
「そばにいて」のフレーズが伸びる瞬間に入る「Uh~」が好き。

Holiday
初めて「作詞:内田彩」という情報が公開された時は内田さんが自発的な思いを形式化するなんて、いったいどんな心境の変化よ!って焦ったけど、
その実、黒須さんの描いた世界をより大きく広げてみたという、
言い換えてみればこの曲の主人公の思いを想像して拡張するというある意味声優らしい道程で生まれていて納得した思い出。
「初作詞は思いが詰まりすぎて冗長になったりとか、綻びが見えやすい」って話はよくあるけど、内田さんがそうなっていないのは内田さん自身に伝えたい思いがあまりないからだろうなと思う。
内田さんは音楽において伝えたい思いややり遂げたい信念がないから、内田さんの歌にはただ音楽を楽しんでいるだけという物凄い純粋さがあると思ってる。
曲調としてはポップながら、イントロからブイブイ言わせたベースはもうわかりやすくベーシスト作曲。
あとリズムが気持ちいいのもリズム隊らしさを感じるよね。
黒須さんに内田さん作詞の部分の感想聞いてべた褒めされて「えへへえ~?(えへへなのかえー?なのか判然としないアレ)そうですかぁ~?」ってへらへらしてる内田さんが見たい、見たくない?

Under Control
とにかく縦ノリで騒ぐ曲。
口触りよく日本語と英語が入り乱れる。
これは夢を見たいけど、その過程はいつもハードコアで時々夢に疲れてしまって、それでもまた前を向いてを繰り返していく歌。
この曲が内田さんに似合うのはEDM系列のようにふわふわな夢から、時々醒めてはまた夢を楽しんでというふうにも考えられるからな気がする。
内田さん的にはCDは小綺麗に纏まってしまっているらしいので、幕張でどんな大立ち回りを魅せてくれるのか楽しみ。
楽器はギター2本とベースドラムのみと、
キーボードもヴァイオリンもない純ロック、オールドロックの構成だけど、
ライブではキーボーディストだけ下げるわけでもないだろうし、
オリジナルアレンジになるのかな。
それも楽しみ。
しかしヲタクはBメロの「Hey! Hey! Hey!」をちゃんと一回休み出来るんですかね……?
いや、別にしなくてもいいけどさw

カレイドスコープロンド
イマドキ逆に珍しくなった典型的歌謡曲を彷彿こそさせるテイストながら、
当時のソレよりもずっとハイテンポでビートが効いているためかなり力強い。
言うならばネオ・歌謡曲といった感じの曲。
多分当時の人に歌謡曲として聞かせたらウルサイって言われるような、
ロックとかに慣れ親しんだ現代だから成り立つ歌謡曲という印象。
花魁のようなその歌い方は自然と和装をイメージさせる。
ロンドとは言うけど、音楽としてはロンド形式ではないよね。
万華鏡のように、ロンドのように心模様も回り……という情景の比喩。
2Aメロの左右吐息がエロ。

Blue Flower
後悔と絶望の花。
大サビに向けた変調はピンク・マゼンダでは自分の世界が一気に広がっていく演出となっていたが、
この曲では世界が目まぐるしく変化していく演出になっているように感じる。
そして最後にはピアノがひとり取り残される。
何に対する後悔なのかを明確にしないことで、絶望だけがそこに在る。
夜、暗い部屋の中でソファーの上から降りることも出来なくなっている情景。
最後に朝日は昇っても、カーテンに遮られたその部屋に光が差し込むことはない。
そんな世界が浮かぶ。
閉塞感に息が詰まりそうなビターミディアムバラード。
次曲以降からラストまで一気に駆け抜けていくためのテンポダウンも担っている。

Frozen
Blue Flowerが氷のような冷たさと例えるなら、
この曲は吹雪のような力強さを備えた冷たさ。
ここから疾走感が光る曲が続く。
寒いから、冷たいから、寂しいから、あなたの温もりを知ったよという、
寒空の下で飲むホットコーヒーのような暖かさを秘めている。
2サビが終わったところがちょうどほぼ真ん中っておかしいでしょw
持田さんは本当に手数が多いというか、1曲の中でのメロディ数が凄い。
それでいて4分半に纏まっているから目まぐるしくも楽しい。
そういったところも吹雪のよう。
Aメロ「ところ」「重い」の上ハモが綺麗。

EARNEST WISH
曲調だけで言えば最後に来てもおかしくない、冒険譚を感じさせる曲。
荒野の夜空と、地平線の夜明けを迎えるような異世界感がある。
切なげに光るヴァイオリンとピアノの調べと、ギターベースドラムが奏でる激情が儚さと強さを感じさせる。
基本的に内田さんの楽曲は、内田さんのこういう面を表した曲、内田さんのこういった面を引き出したくて制作した曲など、「内田さんのための曲」が中心になっている。
でもこの曲は「曲のための内田彩」だと感じる。
この曲ほどの切実な思いや願いは普通に生きている内田さんではなかなか体験しがたいものであり、等身大とは言い難い。
実際コンペの時、(歌詞こそ違ったものの)内田さんも壮大すぎるのではと萎縮していたらしい(スタッフから好評だったために採用された)。
ただだからこそ、普段内田さんが持っていない内田彩を引き出してくれる曲でもある。
その非日常感が魅力的な一曲。

SUMILE SMILE
上ではこの曲の立場を語ったので、内容でも見てみましょうか。
まずイントロ冒頭のギターノイズが好き。
少し掠れてるけれど、今となってはその切なげで儚い声が曲調に合っているとさえ思える。
ポップで、明るくて、前向きで……でもそこにある涙。
涙のしずくがなければSUMILEの花は咲かないと表現したPVの美しさは筆舌しがたい。
「ハートに染み込む涙が……」の裏で鳴り響くイントロと同じフレーズのギターも美しい。
「こぼれちゃいそうだよ」のところで口角が上がっているのを音で感じる。
笑顔の目じりでこぼれる涙は、あまりにも切なく暖かい。

Ordinary
ピアノとヴァイオリンが光るピアノ・ポップ・ロック。
この曲もEARNEST WISHと同じくらい壮大さはある曲だが、
歌詞が描く世界観が内田さんの曲に仕立て上げている。
尤もこの曲は、完成した歌詞を見て編曲を一新したらしいので、
こちらは「敢えての壮大さ」だろうと思う。
声優さんが声優業で喉を壊し、それを乗り越えて今在る。
そんなありふれた話は物語としては三流だ。
ただ、それが内田さんにとって、自分自身のこととして起こったら。
誰かにとって、誰かから見て大したことでないことも、
自分にとっては何にも代えがたい重大なことは往々にしてある。
その、他の誰の視点でもない内田さん自身から見た内田さんの苦しみ。
そしてそこから解放された今。
その表現のための壮大さだろう。
客観的に見て壮大でないことでも、内田さんのことは内田さんにとっては壮大で重大だ。
その苦しみと喜びは誰に分かるものでもなく、
同時に「"自分にとって大切なモノを失いかけて取り戻したこと"について歌った曲」。
そう考えれば誰にでも共感されるものにもなる。
また、去年苦しかったから今が楽しいという文脈は、
涙の先に笑顔があるというSUMILE SMILEの文脈と同列だ。
この2曲は密接なものを感じる。

てなわけで。
1曲ごとに見てきましたが。

マクロで見ていた時に述べたように新しい武器としてはEDMを持ってきた。
そして既存の武器としては「たくさんのジャンルが歌えること」。
ただこれはファンには分かり切ったことであり、
そこに対してどうすればサプライズが出来るかという、
一段上に上がれるかという壁に対して更にジャンルの幅を広げるという、
さらに強化する方法で来ていることが分かる。

しかし幅を広げすぎてしまうとアルバムの統一感が崩壊してしまう懸念があった。
それを踏まえ、全体の統一テーマとして「大人っぽさ」がキーワードになっている。
内田さんも自身で仰っていたけれどこのアルバムは30を越えて初のアルバムであり、
また、アイドルの役に全力投球してステージに立つ時代がひとつの終幕を迎えてから初めてのアルバムでもある。
そのためもっと多様な歌い方は可能だけど、敢えて大人っぽい歌い方に絞っているという。
それは聴いた側としても感じられる。
まぁこれに関してはフィーリングの話に近いので、各々感じ取ってもらいたいところ。

あとは細々した話。

EDMってのはつまりエレクトロニック・ダンス・ミュージックなわけで。
電子音構成のダンスミュージック、客を躍らせるための曲と言える。
そのためにリズムがはっきりと分かりやすくされている。
だから、ロックと相性がいいんだよね。
hisakuniさんは絶望アンバランスとかも作れるので、
EDMロックみたいな主軸を融合させちゃいましたみたいなのも、
フルアルバムにあっても面白いかなと思った。
まぁあれは内田彩のリードにするにはちょっとビターすぎるのでもう少しポップである必要はあるかもだけど。

あと今回佐々倉さんの楽曲が入ってなかったのは意外だった。
と、いっても殆どの曲がコンペで採用されているので、
たまたまちょっと今回は落選してしまっただけなんだろうけど。
「内田彩似合わせ」という区分では一級品の方だと思うのでまた聴けるのを楽しみにしています。

東さんの編曲がないのも意外~~と最初思ったけど、
作曲家陣をよく見ると、単純に今回採用されたPAS+所属の方が黒須さんだけで、
その曲も黒須さんが自身で編曲までしていたからってだけでしたね。

いい加減まとめますか。

少しずつ音楽が楽しくなってきたところを挫かれてしまった去年。
「音楽なんてやりたくない」が、「音楽、もしかしたら楽しいかも」に変わり始めたところだったろうと思う。

でもその傷は避けては通れないものだった。
ラブライブ!のファイナルで全力を出し尽くして限界突破しないなんて、正直考えられなかっただろう。
それで故障してしまってもそこは本望でさえある。
ただ、それと事実声がまともに出ないという現実の苦しみは別の話だ。

それを越えた今。

やっと内田さんは、音楽を純粋に楽しめるところに来れた。
やっと、何にも縛られることなく音楽に意欲的になれる段階に来た。

それはEDMをリード曲にすることだったり、
自分で歌詞を書いてみることだったり、
ファンの掛け合いを増やすためにBメロを長くしてもらうことだったり、
凄く悲しい曲を作ってほしいと歌いたいモノを依頼したことだったり、……

そういった端々からも現れている。
見えているところだけでもこれだけあるのだ。
きっと語られていないところでも色々な楽しみを見つけていることだろう。

「音楽って楽しい」に辿り着けたその喜びが、このアルバムには詰まっている。

井上さんのお話まとめ

この記事は9月11日に開催されたAYA UCHIDA 『ICECREAM GIRL』発売記念 最速フル試聴イベントの、
井上さんのトークを纏めたものです。
「一字一句こう言っていた」なんてことはもちろんなく、ボクの言葉になってしまっている部分が往々にしてあると思います。
ただ、ボクの考えではないです。
何か間違ってる、誤解されそう、解釈が違うなどあったらツイッターのリプでもなんでもいいので教えてください。

用語集
・コンペ
コンペティションのこと。
ここでは、内田さんのために作曲されたたくさんの曲を、
内田さん本人とスタッフ数人でどの曲を歌うか投票する会議のことを指します。

・井上さん
日本コロムビアのディレクター、井上哲也さん。
この人が内田さんにソロ活動を始めさせた人。
内田さんのソロ活動のプロデュースをしている人。




曲単体でない話
今回のコンペでは最初に約200曲ほど集まった。
その中からスタッフが内田さんに合う曲を25曲まで絞り、
さらにその中から作曲者名は伏せた状態で、
内田さんを含めた主要スタッフで投票して決めた。

シングルをSUMILE SMILEまで出さなかったり、
タイアップもしていないのは内田さんのソロ活動を企画した段階から決めていたこと。
逆にそうすることにより、「曲が素晴らしいから不要」と言えるだけのクオリティにしようと考えた。
また、アルバムに収録されたその全てが、
シングルとしてリリースされてもおかしくないほどのクオリティにしようという決意の表れでもあるそう。

アップルミントとbreezin'は井上さんが内田さんに合う前から制作していて、
曰く「内田さんに歌って頂くなら普通に良い曲じゃ絶対ダメ。すごーく良い曲じゃなきゃダメだ。"神曲"なんて軽々しく言われるような曲じゃダメだと作家さんたちに強くプレッシャーをかけて作ってもらった」らしい。
そしてそれを持って、内田さんにデビューの話を持ち掛けたそう。

<以下、ICECREAM GIRL収録曲の各曲解説>
What you want!
勿論ラップという要素も含め、今までに意外となかったタイプの曲調。
コンペでもほぼ満場一致ですぐに収録が決定し、ギリギリまでyellow sweetと表題曲をどちらにするか悩んだ曲。

Yellow Sweet
井上さん依頼書き下ろし曲1。
ロックでなくEDMのこの曲が表題曲として選ばれた理由は、
今までの表題曲はロック調のものだけだったが、
主軸となっているのはロックだけでなくEDMもであり、それを示すため。
hisakuniさん曰く、EDMの中でさらに細かく区分するなら「フューチャーベース」。
川崎さん曰く、「この曲は内田さんの声だからこそ映える」。

Say Goodbye, Say Hello
これを作曲した木之下さんは内田さんの楽曲を作っていただくのは初めてだが、
是非作りたいと意気込んで作ってくれたらしい。
ただ、コンペは作曲家名を伏せて行ったため選ばれたのは曲が良かったから。
歌詞は8割が2日で出来たが、サビの終わりが思いつかずに結局完成までは2か月かかっている。
「Say Goodbye, Say Hello」というフレーズが浮かぶまでが長かったらしい。
歌詞がとにかく良いので発売されたら目を通してほしいとのこと。

Closs to you
書き下ろし曲2。
内田さんの新たな扉を開くために作っていただいた曲。
そのために完成まで時間をかけて、
「今作っている曲本当に良い曲だから」と内田さん本人に声をかけていたらプレッシャーになってしまったらしい(笑)
内田さんが歌うまではもっと壮大になるのではと想定していたが、
彼女が歌ったことで等身大の落ち着いた曲に仕上がった。
(尤も、内田さんの技量なら壮大にも歌えたが、それよりも良かった)。

Holiday
一応コンペ曲だけど、内田さんの「はいこれ私歌いたいでーす!」でだいたい決まったw
あくまでもコンペの段階では黒須さんの歌詞は仮のものだったが、内田さんが気に入って本決定になった。
ただ、その段階では1番の歌詞しかなく、その上黒須さんが超多忙だったため、2番の歌詞を書いてもらうことも出来なかった。
でも内田さんはこの歌詞で歌いたい。
となった時に、じゃあ内田さんが自分で書いてみる?という話の流れになり、翌日には井上さんのもとへ歌詞データが届いたそう。
それがとても良かったため、全く内田さんの原稿には手を加えず、もともとあった1番の黒須さんの歌詞に内田さんが手を加えて完成となった。

Under Control
コンペの中でBitter Kissテイストの曲も必須だろうという話になり、
ではロック調のなかではどれが良いかという競り合いの中で決まった1曲。
Bメロは収録前段階ではもっと短かったが、内田さんの「(ファンの)みんなに叫んでもらうところがもっと欲しい」ということで、
内田さんの案で同じフレーズを2回繰り返すことになった。
歌詞が去年の内田さんの体調と照らし合わせて考えられるというのは制作側は意図していなかったが、
内田さん自身のそういった解釈により、より気持ちがこもった。
この曲に限らず内田さんは歌詞を解釈し、自分の中に落とし込む能力が高いとのこと。

カレイドスコープロンド
これも内田さんの「はいこれ私歌いたいでーす!」で決まりw
かなり個性の強い曲調のため、スタッフ側はコンペ段階ではピンと来てなかった模様。
川崎さん曰く、「What you want!を歌ったアルバムでこれを歌える内田さんの技量はすごい」。

Blue Flower
書き下ろし曲3。
聴いての通りピンク・マゼンダ、Daydreamの系譜。
それらを汲みながら全く新しい曲が欲しいという難題に応えてくれた。
アルバムを作り始める前に内田さんから「物凄く悲しい曲をやりたい」という話があり、
この曲の製作段階で、"じゃあこの曲をそうしよう"ということになった。

Frozen
書き下ろし4。
アップルミントから内田さんの楽曲の中心に在る持田さんの曲は必須ともいえる。
アップルミントを春、Blooming!を夏、SUMILE SMILEを秋とするならこの曲は冬の華の曲。

Earnest wish
内田さん本人としては壮大すぎて歌うのを躊躇った曲。
スタッフにこれくらい大きく行っていいのではという後押しで収録が決定したらしい。

SUMILE SMILE
前述した通りアップルミントはかなりプレッシャーをかけて作ってもらった曲だが、
それをさらに超えるよう依頼した曲。
「"神曲"じゃ収まらないほどの名曲を作るよう依頼したアップルミント」を超えろという無茶ぶりw

Ordinary
6月のライブを見た作詞の金子さんが、
喉の故障から復帰した内田さんにお帰りを言うファンと、
ただいまを言う内田さんの繋がりを感じて書いた曲。
去年の思うように声が出ない悩みやファンからの期待によるプレッシャーによる重みと、
今のそれから解放されて絶好調に歌えている喜びを表現している。
当たり前が当たり前でなくなった時、今こうして歌ってもらえていることが月並みだが奇跡のようだと感じたとのこと。
また、歌詞が出来上がる前とは編曲が全く異なっており、
作編曲の金崎さんが金子さんの歌詞を受けてそれに合うように再編曲している。

Early Summer Party!

はー、物販しんどかった。
「内田彩の物販はいつも酷いでしょ」分かるけどね。
武道館の時はキャパ8000人だからまぁ多少はね?と思ってたけど、まさかキャパ2500未満で同じだけかかるとはね。
ナメてたよね。
8時半から並んで5時間半かかって開場に間に合わないとは思わないよね。
いや、俺は入場順1000番代だったからそういう意味では間に合ったけど、……ギリギリすぎだよね。
まぁもうコロムビアにはメールしといたし、幕張ではせめてタブレットの導入くらいしてくれるといいね……。
あと下請け変えろ。
今回のパンフは水色背景のが好きでした。


今回のチケットは1000と1800とかだったから普通に後ろやなと思ってたけど、実際蓋開けたら最後尾にすらいけなくて草生えた。
まぁスタジオコースト、アリーナの段差がひとつしかないから1段目後方に行くよりは高くなってるところの前方行った方が見えるし楽だもんな。
てなわけで内田さんの姿は殆ど見てないですね。
でも会場音良かったんで、いっそ目をつぶって聞き入ったりして楽しかったな。
視覚情報止めて耳に集中すると結構聞こえ方違うものなんよね。
目はめちゃめちゃ情報量多い分脳にだいぶ負荷かけるもんね。

さてさて一曲目何来るかなと思ってたらLet it shineは意外だったかな。
あとアップルミントを真ん中に持ってくるっていうのも印象変わって面白かった。

ツイッターでは「アップルミントの歌詞を全然変えてなかった」って言ったけど、
Blooming!もペガサス号も全体的に歌詞のまま歌ってたよね。
それは久々で緊張していたのか、それとも音楽活動の再開に合わせて「ちゃんとしたもの」を歌いたかったのか。
それは内田さんにしか分からないけど、きっとそこには意味があったんだろうな。

話題のアコースティックアレンジ版のお話もしておきましょうか。
改めてオレンジを聞いて見ると結構ポップだと思わない?
それに電子音まみれで構成されてる。
これを、テンポ落としてアコギのみにすると全然違う曲になるよなぁとしみじみ。
本来は逆のはずなのに、その後に演奏されたハルカカナタ(アコギアレンジ)の方が縦乗り感あったよね。

しかし、内田さんの声がよく引き立ってて凄く痺れたな。
喉の復活が明確になってた。
それと多分、あれが出来たのって多少なりとも自分の歌に自信がないと難しいと思うのよね。
自分の歌と、それを引き立てるための楽器が調味料程度にあるだけ。
ダンスをするわけでもなく、歌だけを聴かせる。
それって自信の表れだと思うのよね。
緊張したとは言っていたけれど、その企画をやろうという気持ちになった時点できっと無意識下で昔より自信がついているんじゃないかな、なんて思った。

ただ、相変わらず歌詞がアヤフヤだから「聴かせ」をするならそこは頑張って!とも思ったなw
もちろん「まったくそういうところも可愛いんだから」ってボクは許せちゃうけれど、それはファンの甘やかしでしかないからね。
カッコよくキメるためにはそこはしっかりしないと締まらないからね。
ポップにノリノリなときは勢いで行っちゃっていいと思うんだけどさ。
あとは十二分に上手いんだけれど、欲を出せば音程ももっと安定出来るハズ。
まぁそこは歌いこんでいけば自然と上手くなるだろうけれどね。
なーんて声優にどこまで期待してるんだかって感じだけれど。
でもなんとなく、「声優が歌っている」から、「声優であり、歌手である」に本当の意味でなれるんじゃないかという風にきっと俺が自分の無意識の中で期待してしまったんだと思うな。

あ、そうそう。
個人的意見だけどああいう風に音数少ないときはサイリウムの色変えのカチカチ音すらよく響くし、いっそ電源切っちゃったほうがいいかもね。
あとあと、内田さんはアコースティックライブもいつか出来たらいいなと言ってたね。
それならもういっそアコースティックアレンジアルバムも出して欲しいくらいやな。

そんでもって昼の部後半戦。
全体を通して、ビターロックな曲はなかったね。
バンドを入れての公演だったけどポップロックが中心だった。
明るく復活したよ~~~ってことだったんかしらね。
まぁともかく楽しく楽しくで最後まで付きぬけて。

SUMILE SMILE初バンド演奏はどんな感じになるのかな、と思ってたけど。
「Smile for you, Smile for me, Smile for you, SUMILE SMILE」
のコールはオケからボーカルが抜いてあったんだけど、自然俺らが入れる空気になってたかな。
それが要因なのか、自分でも分かってないかもしれないけれど、内田さん結構感極まってたっぽくて輪をかけて歌詞とかぐちゃぐちゃだったなw
喜んでくれたのは嬉しいけれど、またちゃんとしたSUMILE SMILEが聴ける日を楽しみにしていますw
最も、全体として凄く良かったんだけどさ。



夜の部の話も少しだけ。
被る要素は省くとして。
昼の部はバンドが入っていたからアコギソロは分かるんだけど、夜の部でキーボード出てきたときは一周回ってサプライズだったな。
夜の部はどういう構成になるんだろうと思っていたら、櫻田さんにそこだけ出ていただくとは。

なんでそういう新たな試みをやったかっていうと、武道館の後これだから規模が小さくなってしまうので、
なんかしらサプライズを与えて来て良かったと思って欲しかったみたいね。

キーボードアレンジ終えたあと、フリートークで「また新たなこの曲たちの魅力が引き出せたんじゃないかなと思います」みたいなこと言っていて、無意識から出た言葉だろうけれどだからこそ、
"新しいアレンジで歌えて楽しかったです"とかじゃなくそういう言葉が出てくるのってやっぱり音楽に対するアプローチもキャラクターに対するソレと同じで、「その子の良さを引き出してあげたい」って根底は同じなんだなとしみじみした。
自分が主体じゃなく、キャラクターが、音楽が主なんだよね、きっと。
それはもう内田彩の性分なんだろうなぁ。

後半でLike a BirdとRuby eclipseが来たのもちょっとしたサプライズだったな。
ちゃんとしたライブイベントでこの二曲をバンド無し、カラオケで歌ったの、初めてじゃない?
しかもDaydreamの後フリートーク無しでぶっこんできたから物凄い触れ幅だったよねw
その後はwith youからEverlasting Paradeと同系曲。
EPの方も初披露に近かったけど、こっちはちゃんと歌ってたかなw
「Ever Everlasting Parade!」のParade!のところでの2クラップするのやっぱ楽しい。
間奏では内田さんもそれをするよう煽ってたね。
アウトロでは「wow wow wo wow!」も煽ってた。
みんなで楽しくって感じの曲になっていきそうやね。

〆はSweet Dreamerだったか。
Sweet Tearsのコンセプトライブの時もこれを〆にしていたから、「おやすみ」感のあるこれを最後に持ってくる構成が気に入ってるのかもね。


最後にはICECREAM GIRLと次回ライブの告知もあって。
3ヶ月後かぁ。
逐次情報も公開されていくだろうし楽しみやね。
というかなんというか、内田さんの音楽活動が単純に続くというところで終わらず、これからも成長していくんだということが分かって期待値マシマシになってるかもしれない。

そもそも内田さん武道館公演で一回ある程度満足しちゃった(けどSUMILE SMILEを録ってやってて良かったと思うことが多かったと感じたから続けることにした)って言ってたし、今回のライブは内田さんが音楽を楽しいと思えていなかったらやってなかったと思うのよね。
音楽活動再開してなかったんじゃないかなと思うわけ。
だから今、内田さんが音楽を楽しいと思えていて本当に良かったよなと思う。

次のアルバムは初めて草花のイメージから離れたことも何か変化の兆しを感じるし、どういうものになるやら。
あくまでもアルバムだからまた2曲目以降がどういう構成になっているかは全く読めないし、本当に楽しみやな。